2013年06月19日
[ 石屋の小話 ]
6/8~9の2日間、当組合の研修旅行で、香川県の高松へ行ってきました。
最初に訪れたのは、日本最古のマルチプルアーチダムである『豊稔池ダム』
マルチプルアーチダムというのは、アーチ型の止水壁が複数連なって構成されるダムで、非常に珍しく、日本では2基存在するだけです。
続いては『あじストーンフェア2013』の会場であるサンメッセ香川。
今回で、43回を迎えるこのフェアには地元庵治産地業者をはじめ、他の産地団体や石材関連の企業が多数出展していました。
また、当組合の常務理事である田口一已(㈱田口石材)が、『鳥居の基礎知識と耐震性』というテーマでセミナーを行い、沢山の方にご清聴頂きました。
2日目は研修旅行の一番の目的である、庵治大丁場(採石場)の見学ツアーに参加しました。
ここでは、そこで働く業者の方から現地説明や、石割実演をして頂きました。
そしてツアー最後には、参加者全員に、入山証明カードが配られました。
『庵治石』というのは、庵治産地(庵治町・牟礼町)で産出された石材を、庵治産地で加工した石製品で、日本で最高と言われる石です。
中でも極上の庵治細目と呼ばれる石は、キズ等を取り除き、斑(ふ)と呼ばれる庵治石特有のまだら模様が揃う様に選定していくと、実際に使用出来るのは、採掘量のわずか3%程度にしかなりません。その石を最高の技術で加工することによって、最高の製品が出来上がります。
これが庵治石の製品(特に墓石)が高価になる所以です。会場にも展示してありましたので見てきましたが、本当に素晴らしい仕上がりでした。
私たちの組合で産出している『蛭川みかげ石』は、正直言って知名度など多くの面で庵治石にかないません。ですが、『蛭川みかげ石』にしかない魅力がある事も確かです。新たな商品開発や技術力の向上によって、その魅力を高め、広めていかなければいけないと、当研修を通じて強く思いました。
そうそう、あと忘れてはならない讃岐うどんもいただきました。
石も良かったですが、うどんも最高でした!!
2013年05月30日
[ 石屋の小話 ]
蛭川みかげ石の特徴である『錆石』について少しお話したいと思います。
《錆石が出来るメカニズム》
かつて錆石は、石に含まれる鉄分が浸透した酸性水により酸化したものと考えられていました。
しかし、その後の大学の研究の中で、岩石が生成され、凝固する時に収縮しクラックが発生します。そこへ高圧のマグマから発する熱水が浸透する事で、最初に緑閃石成分が侵入し皮膜が作られます。それにより鉄分などの進入が妨げられるために、白と錆の強いコントラストが生まれるという事が解明されつつあります。
つまり、蛭川みかげ石の錆は風化や酸性水等の影響で出来たものではなく(朽ちた石、腐った石との評価がある)最初から錆石として生成されたものである。錆部分の色落ちがない事も、この理由によるものであると思われます。